ようこそ認知言語学系研究室Webサイトへ
ようこそ、京都大学大学院 人間・環境学研究科 認知言語学系研究室へ。

当研究室では、「言語は人間の身体化された認知能力と運用能力に深く根差した存在である」という認知言語学的な視点から、言葉と言葉の背後に存在する認知のメカニズムの解明を目指しています。

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今後の予定

    7月3日 京都言語学コロキアム

    日時:7月3日(日)13:30〜
    場所:総合人間学部棟 1103講義室(いつもの会場と同じ建物の同じ階の教室です)

    • 第一発表
      • 発表者:川上 夏林 (京都大学大学院)
      • タイトル:状態性のデキゴト意味論―フランス語の心理動詞・感覚動詞の包括的研究—
      • キーワード:他動性、因果関係、コントロール性、物理性、比喩的拡張、状態性、topicality、与格構文、意識の主体
      • 備考: 本研究はフランス語の心理動詞構文、感覚動詞構文の包括的な研究を目的とする。語彙意味論では主に、経験者が目的語に置かれる語彙的心理動詞が議論の中心にあり、心理動詞は特異な使役性を持つ動詞として位置づけられてきた。しかし、経験者が与格表示されるタイプの構文や痒みなどを表す構文まで広げて観察してみると、類型論的にも心理・感覚を表す構文が状態性に関わる現象であることが分かる。また、心理・感覚動詞構文の成立に目を向けてみると、それらが動詞の比喩的拡張と深く結びついていることが見えてくる。心理、感情など内的デキゴトを描写する構文の背後には、従来の因果性に基づいたイベントモデルには還元することのできない使役や状態の問題、それと密接に関わるであろう比喩の問題が隠れていると考えられる。本研究では、因果性に基づくイベントモデルとは別に、階層性に基づくイベントモデルを仮定することで上記の問題について考察を行なう。イベントモデルの多層性からヴォイス研究に対する理論貢献を目指すだけはなく、文法と比喩の接点も探ってみたい。
    • 第二発表
      • 発表者:城 綾実(京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)科学コミュニケーショングループ)
      • タイトル:認知症高齢者グループホームにおけるケアカンファレンスの相互行為分析:判断・評価の再生産と身体的表現に着目して
      • キーワード: 介護職員、理解共有、意思決定、会話分析、物理的・規範的構造、意見・見解の交渉空間、主張態度の調整
        備考: 認知症高齢者の方々が生活するグループホームでは,利用者ひとりひとりに応じたケアをしていくために,介護職員は多様な作業を行っている.24時間ケアができるよう組まれたシフト制勤務では,利用者の様子が日によって異なる場合もあり,介護職員らが得る利用者の情報や個々の理解が微妙に異なる可能性が(一時的であれ,)ある.そのような介護職員たちが情報や理解を共有し合う機会のひとつが,月例ケアカンファレンスである.本発表では,介護職員が利用者の様子(機嫌が良い/悪い,食欲・怪我の様子など)を報告してから,当座どのような方針でケアをしていくのかの決定に至るまでの過程に着目し,会話分析に基づいた相互行為分析を用いて,グループホームとしての方針を決定するための資源となる諸現象の構造を明らかにしていく.特に,個々の介護職員が利用者に関する報告をする際の判断や評価が組織内のそれとして再生産される点と,判断や評価を述べながら用いられる身体的表現に絞って発表を行う.

    6月30日 言語フォーラム

    日時: 6月30日(木)13:00~
    場所: 総合人間学部棟 1107号室

    ・第一発表
    発表者: 永井宥之(谷口研究室M2)
    タイトル: 慣用表現のテンス・アスペクト形態の分布とその要因-「足を洗う」を例に-
    キーワード: 日本語学、コーパス、「-た」形
    備考: 本発表では、「足を洗う」という慣用表現はテンス・アスペクト形態(-る・-た・-ている・-ていた)について、慣用表現としての用法と、字義通りの意味を表す表現としての用法とでは異なる振る舞いをみせるということをコーパス(筑波ウェブコーパス)から収集したデータをもとに示唆する。さらに、この違いがどのような要因によって生じているのかという点について考察する。

    6月23日 言語フォーラム

    日時: 6月23日(木)13:00~
     

    場所: 総合人間学部棟 1107号室

    ・第一発表 発表者: 井上拓也(谷口研究室D1)

    タイトル: アイヌ語の場所表現についての生態学的研究
    キーワード: アイヌ語、場所表現、生態心理学
    備考: 本発表では、アイヌ語の場所表現(中川1984)と呼ばれる文法的制約について概説し、日本語との比較を行いつつ、共同注意的な言語観(本多2005, 2006等)を共有する生態心理学的観点から「場所表現は、空間的な方向の指示だけではなく、その場所における経験や行為の可能性を指示する機能を有する」ということを示す。今回は、発表者の修士論文の内容に加えて、アイヌ語口承文芸コーパスを用いて、実際の使用例に基づいた分析を行う。
    ・第二発表
    発表者: 田丸歩実(谷口研究室D2)

    タイトル: 比喩は現実を否定できるか キーワード: 隠喩と直喩、メタ言語否定、ラング 備考: 隠喩と直喩は質的に異なるという立場から、否定を含むメタファー表現を検討したいと思います。たとえば「あれは嫁じゃなくて鬼だ」という表現は自然ですが、「あれは嫁じゃなくて鬼のようだ」という表現は、比喩だとすると容認度が落ちるように思われます。本発表では、利沢 (1984) の議論を基に、隠喩表現でのみ趣意の否定が可能ではないかということを論じていきます。