ようこそ認知言語学系研究室Webサイトへ
ようこそ、京都大学大学院 人間・環境学研究科 認知言語学系研究室へ。

当研究室では、「言語は人間の身体化された認知能力と運用能力に深く根差した存在である」という認知言語学的な視点から、言葉と言葉の背後に存在する認知のメカニズムの解明を目指しています。

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今後の予定

    京都言語学コロキアム第12回年次大会(KLCAM)

    ◆ 京都言語学コロキアム年次大会
    京都言語学コロキアム第12回年次大会(KLCAM)についてご案内させていただきます。
    今年は下記の要領で開催する運びとなりました。
    皆様お気軽にご参加ください。
    (※他の学会等の関係で、KLCAMの日程が例年と大幅に異なりますので、ご注意ください。)
    (※懇親会の参加費の情報を追加しました。)

    日時: 2016 年 9 月 24 日(土)13:00~17:30 (会場受付 12:30~)
    会場: 京都大学吉田キャンパス 総合人間学部棟 1102号室

    プログラム:
    第一発表:森下裕三(神戸大学 研究員)
    タイトル:移動事象に関するコーパス研究と実験研究の違いから見えてくるもの
    キーワード:移動事象、着点志向、英語、コーパス、実験、統計
    備考:Talmy (1985)
    による論文が発表されて以来、移動事象は認知言語学の枠を超えて多くの研究者の注目を集めてきた。さらに近年は、コーパスや実験といった実証的研究も盛んになっている(e.g., Stefanowitsch and Rohde 2001, Papafrago 2010, Lakusta and Landau 2012)。しかし、移動事象に関するこれらの実証的研究が全て同じ結論に到達しているとは言えない。本発表では、BNC から123 種類にも及ぶ英語の移動動詞を含む全用例から各動詞の用例を統計的に妥当な方法でサンプリングし物理的移動のみを選出した約 8,600例に及ぶデータと実験による先行研究のデータとを比較することで、コーパスと実験のそれぞれの性質の違いについて議論する。
    第二発表:有薗智美(名古屋学院大学)
    タイトル:「日本語母語話者による英語メトニミー表現の解釈エラー」
    キーワード:メトニミー、外国語の比喩表現解釈、文脈的手掛かり、百科事典的知識
    要旨:非母語話者によるメトニミー表現の解釈に関する研究は、その必要性が指摘されながらも、メタファー表現の解釈に関する研究と比較して少ない。そこで本発表では、非母語話者による英語のメタファー表現の解釈に関する研究(Littlemore et al. 2011など)において得られた知見をもとに、日本語母語話者による英語のメトニミー表現解釈のエラー分類を提示し、解釈の成否を左右する要因を示す。特に、非母語話者が当該表現に対して持つ知識とその表現が用いられる文脈が、適切な解釈をどのように促進し、あるいは抑制しているかについて論じる。
    第三発表:平本毅(京都大学経営管理大学院)
    タイトル:家族の文法:スーパーの買い物場面の会話分析
    キーワード:会話分析、省略構文、購買意思決定
    備考:「卵は?」「買う」「冷凍食品は?」「いらん」。家族がスーパーマーケットで買い物している様子を観察すると、このような、ごく短い発話が飛び交う様子をみることができる。父や母、子は、たんに馴染みの仲だからこうした、文法要素の省略を伴った短い発話を交わして節約を行うのではない。そうではなく、文から述語や修飾語を省略し、欠けた要素を互いの発話に依存し合う発話連鎖(sequence)を組み立てることによって、彼/彼女らは互いが家族の間柄であることや、家計(household)を気にかけながら購買意思決定を行っていることを表示している。言い換えればここでは、文法資源が「家族」や「消費」といった社会制度の現前にかかわっている。本発表ではスーパーを舞台にした家族の買い物場面の会話分析を行い、以上の点を議論したい。
    ※ 発表は1 件につき80 分(発表45 分、質疑応答・ディスカッション35 分)の予定です。
    ※ KLCAM終了後、ブーガルーカフェ(百万遍交差点北西)にて懇親会を予定しております。参加費は、学生3000円、社会人4000円となります。お時間に余裕のある方は、是非ご参加ください。

    7月14日 言語フォーラム

    日時: 7月14日(木)13:00~
    場所: 総合人間学部棟 1107号室

     

    ・第一発表
    発表者: 藤田遥(藤田研究室M2)

    タイトル: 語彙項目に着目した言語の起源・進化研究
    キーワード: 進化言語学、語彙項目、併合、概念化
    備考: 本研究では、生成文法理論の枠組みにしたがい、統語と語彙という2つの主要な言語モジュールを想定する立場を採る。
    Chomsky (2010) では、併合が唯一の言語固有の機能であるとされているが、本研究では、併合そのものではなく、併合の操作対象が語彙項目であるという点に言語の特異性があると主張する。
    そのうえで語彙項目に着目し、認知言語学での概念化に関する知見を援用して語彙項目の成立経緯を説明する仮説を提案する。

    ・第二発表
    発表者: 菅谷友亮(谷口研究室D3)

    タイトル:文化的価値観と形容詞表現の産出過程

    キーワード:価値付与、絶対判断と相対判断、(間)主観性、比較文化

    備考:なし

    7月7日 言語フォーラム

    日時: 7月7日(木)13:00~
    場所: 総合人間学部棟 1107号室

    ・第一発表
    発表者: 宮崎聡子(谷口研究室M2)

    タイトル: 行為解説の進行形―先行文献のまとめを中心に―
    キーワード: 英語、進行形、語用論
    備考: 修士論文に向けての発表です。
    修士論文では英語の進行形を扱いたいと考えており、数ある用法の中で特異とされている行為解説用法に注目しています。今回の発表では先行研究のまとめを中心に据え、修士論文で何が主張できるのか考えていきたいです。
    皆様からたくさんのご意見いただけると嬉しいです。

    ・第二発表
    発表者: 齋藤幹樹(谷口研究室D2)

    タイトル: (ディスカッション) なぜ単語頻度は評定値の低下を招くか

     

    キーワード: 容認性判断、線形混合効果回帰モデル(階層線形モデル)、コーパス、頻度、認知文法、下位構文スキーマ

     

    備考: 研究報告というよりむしろディスカッションを目的とした発表になります。

     

    本発表では、日本語の句レベルの造語認識・理解において、単語頻度及びスキーマ頻度が評定値に有意に影響を与えている可能性を示します。これまでの単語レベルの(名詞-名詞複合語型造語を対象とした)実験・分析により、単語頻度ではなくスキーマ頻度が容認性判断に影響を与えている可能性が示唆されていますが(斎藤2015a,b)、本発表はこれに続く位置付けとなり、分析方法の改善に伴ってこれら(斎藤(2015a,b))のデータセットの再分析も行います。

     

    争点となるのは、スキーマ頻度が予測通り評定値と正の相関を示すのに対し、単語頻度が評定値に対して常に負の相関を示す点です。つまり、単語頻度の高い単語を含む新奇表現の方がそうでない新奇表現よりも一貫して低い評定値を得る傾向があります。本発表内ではこの現象が見られるメカニズムについていくつかの可能性を示すとともに、その考察を行います。
    (参考文献)
    斎藤幹樹. 2015a.「下位構文スキーマが容認性判断に与える影響の統計的評価」『日本認知科学会第32回大会発表論文集』, 1-8.
    斎藤幹樹. 2015b.「言語表現の容認度に対する下位構文スキーマ頻度及び単語頻度の影響の統計的考察」『言語科学論集』21:37-57.